アメリカドラマのキャラクターの名前

ざっくりしたタイトルですが。サブドメインで感想を書いていますが、私はもう二十年も好きな俳優のドラマのDVDをコンプリートしていて、日本では未公開・未DVD化・廃盤のものが半分以上あるので、ほとんどはアメリカのDVDで観ています。なので人名や固有名詞も英語になるわけですが。その上で名前について気づいたことをつらつらと。

綴りの違い

英語名は(設定の国や宗教にもよるけれど)一番オーソドックスなのは聖書から取っている名前で日本ほど種類がない。――なんて思っていましたが、英語圏の人に言わせるとアルファベットだけでも奥が深いようです。

旧約聖書or新約聖書から取っているというので地域や宗派が推測できるとか、女の子に花の名前を付けるのはイギリス系が多い(と聞いたけどほんとかどうか知らない)とか、変わった名前をつけちゃうと日本で言うキラキラ系で両親は保守的ではないんだろうと思われたりとか、綴りの違いでルーツが分かるとか、そもそも聖書じゃない場合はモロに国とか宗教とか分かりやすかったりするとか。これは単純にユダヤ系の名前とか、イスラム系の名前なら中東系とか、日本人名ならアジア系みたいなやつね。中国や韓国の人は欧米では横文字の名前を名乗ったりするから必ずしも当てはまらないようですが。

綴りの違いって言うのは、日本では同じカタカナで表記しても英語だと表記が違うやつ。正確には音も違うようだけど、例えば「クリスティー」って名前が、「Christy」だったり「Kristi」みたいなやつね。「マリー」が「Mary」だったり「Marie」だったり。これは前者は「メアリー」の方が多いかもしれない。後者はフランス風の綴りだそうな。――という感じにルーツとか推測できたりする。まあ、ルーツ関係なく親の好みでつける場合もあるそうだけど。

更にこういう違いは名前だけでなく苗字でもあるらしいよ。「スチュワート」が「Stuart」だったり「Stewart」だったりするやつとか。「ホートン」が「Horton」だったり「Houghton」だったりとかね。そしてこれらの差をネタにしているエピソードもアメドラではたまに見かけます。

The Pretender ザ・プリテンダー 仮面の逃亡者 パメラ・ギドリー
もう20年も前のドラマですが『The Pretender(ザ・プリテンダー 仮面の逃亡者)』では先日亡くなったパメラ・ギドリー演じるキャラの名前で「Brigitte」と「Bridget」を使い分けしてました。登場人物たちも発音を強調して「Brigi→tte」か「Brid↓get」みたいに呼び分けしてたけど、日本語的にはどっちも「ブリジット」だし、正直、私には英語字幕がなければお手上げでした。きっと普通に会話の中で出てきても区別つかない。そもそも日本人は違いを意識しないよね。でも役名「Brigitte」の方はフランスやドイツの名前だそうなので、英語圏の人には違う国の響きに聞こえるんでしょうか。他にも「Bridgit」とかスペルが微妙に違うのあるけど、これらも発音違うのかも。

※パメラの演じた「Brigitte」は、暗殺とかスパイ的な仕事をしている胡散臭いキャラなのですが、加えてフランス系の名前(とヨーロピアンアクセント)で正体不明感を出していて、でもたまにアメリカアクセントに戻ってるのを指摘されて、ますます胡散臭さを印象付けている役でした。他の登場人物たちはアメリカ風の「Bridget」で呼んだりちゃんと「Brigitte」呼んでたりと混じってるし、本人に訂正されたり(画像のシーン)。←日本人には何重にも難易度高いネタです。

外部リンク(英語)
Bridget/Brigitte/Bridgette?
https://forums.thebump.com/discussion/8972939/bridget-brigitte-bridgette

ぐぐっていたら娘の名前に「Bridget」か「Brigitte」か「Bridgette」のどれがいいか悩んでるアメリカ人の相談を見つけました。これの返答によると、「Brigitte」だとアメリカでは「Bridge-eat」で「橋を食べる」って発音されちゃうから、英語式の「Bridget」がいいって推されてました。なるほど、これ読んでから上の『The Pretender』見返したら確かに「Bridge-eat」に聞こえてきた。

日本語だと「二郎」と「次郎」はどちらも次男なのか?とか、若い子にはいなさそうな一昔前の名前だなとか(ジローさんごめん)と思う程度には推測できるけど、発音やアクセントの違いはないし、地域で使い分けしてるとかルーツの違いなんてのもないから、こういう点では英語の方が複雑です。

けどこの差も、もしかしたら日本ほど海外は生まれ順を気にしないけど、海外は日本よりルーツを気にする――なんて、文化の違いが出ているのかもしれません。って、漢字でも、「金」と書いて「キン」さんか「キム」さんかでルーツの差が出るみたいなのはあるか。日本でも珍しい苗字は地域が偏ってたりするし。

他にもメインキャラで「Sydney」が出てきてましたが、これは普通に「シドニー」でオーストラリアの地名?って感じですが、一応人名でもあるんだそう。ただ一般的には「Sidney」の方が人名では多いとか。その綴りの差で多分いろいろ推測したりできるみたいな。

日本語化する時の表記の揺れ

「Williams」は「ウイリアムズ」なのか「ウイリアムス」なのか「ウィリアムズ」なのか「ウィリアムス」なのか、みたいな。「James」は「ジェームス」か「ジェームズ」か「ジェイムス」か「ジェイムズ」かとか、「Weiss」は「ワイス」か「ウェイス」かとか果てしなくある。「Victoria」は「ビクトリア」より「ヴィクトリア」のが気取って見えるとか大体がフィーリングだよね。アイスは「バニラ」より「ヴァニラ」の方が高級感漂うとか。

この辺は正解がないし、私の耳に聞こえた音と日本で公開された時のカタカナ化が違ってる可能性もあったり、どうだったかとか分からないのも多いので、ドラマの感想書いてる時は全部英語で統一してました。そもそも日本語でどう書くのよ?みたいなマイナーなのもあったりするし。

一方で日本で配信されたりDVD化されている作品はプロの仕事だけに、当然ながら名前は全部カタカナになってます。そちらはメーカーさんとか翻訳する人が訳してるんでしょうが、決定する時は耳で聞こえる音と、日本で一般的とされている洋名をうまく組み合わせているんでしょう。

英語表記もそもそも翻訳

アメドラだと多国籍っていうのは上でも書きましたが、単純に外国人の登場人物というパターンから、外国ルーツの名前もあります。

例を挙げると『Dark Shadows(ダーク・シャドウ)』。2012年に映画版が日本でも公開されていますが、私が見たのは1991年リバイバルTV版なので、キャラ名はかぶっていても話の筋はそれこそ本当にシリアスがコメディになってるくらい違います。今回はリバイバル版の設定で書いてます。

これはアメリカドラマですが、主人公「Barnabas Collins」の婚約者がフランス領マルティニーク島から来た貴族設定の「Josette du Pres」って名前です。そして後に悪霊化してたり黒魔術で二人の邪魔をするメイドの「Angelique」もフランスアクセントの英語とかたまにフランス語喋ってます。
 
なのでフランス系の人たちの名前は正式にはフランス語スペルみたいですが、ドラマの名前クレジットはもちろん英語になってます。けど英語圏のレビューだとフランス語スペルで書いてる人もいたりと、アルファベットの国でもこだわりの表記の揺れは出るようです。

英語と日本語の差はどうかというと、主人公「Barnabas Collins」は2012年の日本映画版では「バーナバス・コリンズ」になってました(他のキャラも「ジョゼット・デュプレ」「アンジェリーク」で大体そのままカタカナ読み)。リバイバル版を見てきた私の耳だと「バーナバス/ボーナビス」に聞こえますから大体は音のまま?

けどこれって由来である聖書の人名だと「バルナバ」で全然違う。新約聖書の『使徒行伝』に出てくる「バルナバ」は固有名詞としても有名ですが、英語は同じ「Barnabas」です。でもカタカナだとイコールにならないし、どうやってもこれは連想できない。どうしてかというと聖書は元がヘブライ語アラム語等由来だから。英語名も原語から英語に訳している状態です。なので原語を元に翻訳している日本の聖書の世界と、英語→日本語化したキャラクター名では差が出ると。

聖書由来は「バルナバ」でドラマは英語読みの「バーナバス」から取ってるっていう日本の翻訳と、とにかく英語読みしている英語圏だと、日本語の方が元の音に忠実に表現しようとしているのでは?と思ったりします。

他にも私の愛する「Peter」は(映画版には出てこないようですが)日本語だと普通に「ピーター」だけど、聖書だと「ペトロ」が由来だったりするし、聖書由来の名前が多いと言っても元からはだいぶかけ離れてます。発音も単純に「ピーター」じゃなくて、「ピーラー」くらいに言ってる人もいたりして、皮むき器かっての。固有名詞の世界って奥が深いし文字にするって難しいです。翻訳する人ってセンスも必要で大変だなあと思います。